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Feb 09, 2005

Cellプロセッサのパフォーマンス

 良く分からなくなってきたので、自分のために発表されたばかりのCellプロセッサについてまとめて置こうと思う。今回は、利用と言うよりはハード面の特徴など。


 一番メディアが驚いたのは4.6Ghz(!)とも言われるクロックスピード。Pentium4が4Ghz目前に3.8Ghzで限界を迎えたのをあざ笑うかのような数字で、これは相当インパクトがあったんではないかと思う。

 けれど、これはCellプロセッサの限界温度85度が許すまでのギリギリの動作をさせた場合に発生する数字だと思われ、またCellプロセッサの性格上、ハイパフォーマンスを目指すのであれば無理にクロック周波数を上げる必要ないのでこの数字はそれほど重要でないと思う。

 採用が予定されるPlayStation3やテレビに搭載される場合は、もちろんクロックスピードを低下させたモデルのCellプロセッサが専用に開発され搭載されると思われる(OC可能だったりするんだろうかw)。


 今回発表されたプロトタイプのCellプロセッサでは、構成的にはPPE×1、SPE×8と、ワンチップの上で何と9個のプロセッサコアを搭載している(ちなみに特許ではPPE×4とか言う構成だった気も)。

 PPEはどうやらIBMのG5でおなじみのPowerPC 970プロセッサの新盤、あるいは後継の64bitプロセッサの様子。このプロセッサが命令を解釈して8個のSPEを制御する。対してSPEは浮動小数点演算に特化したプロセッサ。注目すべきは8個が8個別々の演算をすることが出来ると言う点。

 スレッドは最高で10本動かすことができて、G5プロセッサとも命令の互換性がある。複数のOSを動作させることも可能と色々と凄そうな仕様が目白押しだ。メモリは合計2.5MB(PPE512KB、SPE各256KB)搭載してる。

 この9個のプロセッサが幾ら高速に動作してもデータを渡すI/O周りがしょぼければパフォーマンスは期待できないが、Cellと言うだけあってI/Oには力を入れている。と言うよりCellプロセッサの最大の特徴はこのI/O部だろう。ざっと挙げてもこんな感じ。

 メモリインタフェース
  3.2GHz 25.6GB/s (XDR DRAMを接続可能)
 バスインタフェース
  6.4Ghz 76.8GB/s (FlexIO技術、外部コントローラにも最大2本提供可能)

 DDR系メモリで最速のDDR600(PC4800)でも4.8GB/s(600Mhz)なので、5倍以上の転送速度を誇るXDR DRAMを利用できると言うのは性能的に大きな影響があると思う。同様にプロセッサ間接続も高速なので今回のハイスペックが実現している。

 また外部にもこのバスインタフェースを直接提供できるので、より高速なGPUとの接続が可能。この技術があるからこそPS2のEmotionEngineの様にグラフィックス機能を内包しなくても良くなったという。このバスを使えば複数台のCellプロセッサを接続することも可能になるみたい。

 詳しいコアやインターフェイスの配置なんかはこちら(後藤弘茂のWeekly海外ニュース)の図が非常に参考になると思われます。


 これだけの高速で動作するCPU、消費電力が気になる所ですが、ある業界アナリストは30W程度(PentiumMと同程度)、と言ってます。んー?PowerPC970の1.8Ghzが42Wなんだけど??と個人的にはちょっと疑わしいと思ってます。

 性能は256GFLOPSと、1チップでは相当優秀な性能を叩き出しています。当初予定された1TFLOPSと言う、世界のスパコン50選にたった1つのCPUでランクインすると言うレベルではありませんでしたが、それでも現状のCPUに比べて10倍優秀と言うのは言い過ぎではないと思います。

 他にも、リアルタイムアプリケーションが動作したり、高度なセキュリティを保障したり、私には理解の範囲を超えた様々な技術や、書ききれなかった数多くの数字がありますが、ここでは紹介しきれないので見送ります。


 さて、ここまで書いておいて重要なことをひとつ。「Cellプロセッサは高いのか?」と言う点。これは家電への積極的な採用が決まっているCellプロセッサであるから大いに気になります。

 結論を書けば「限りなく高い」気がする。

 流石に10~30万円クラスのプロセッサよりは格段に安い価格で提供されるとは思いますが。プロセッサ用の高速なメモリの容量が2.5MBと比較的大容量で、またCellプロセッサ自体が割と大きいので価格が上昇しそうです。

 ちなみに、画鋲の写真が有名なCellプロセッサですが、あれはダイサイズであって、パッケージ化されたCPUの大きさではありません。実際は初代Pentium4と同じくらいの結構大きな部類(221平方mm)。1枚のウエハーから切り出せるCPUの量が製造コストに密接に関係していると言われるので不利ですね。

 あくまであの写真は「9つのプロセッサを入れてこの大きさなんですよ!」と言う話なので、CPUとしてはやはり大きいと言って差し支えは無いかな。とは言えこれはプロトタイプの話。今年の秋からIBMが65nmプロセスに移行するそうなので、その時にダイサイズがやや減少してくるんではないかと考えます。

 色々総合して考えた結果、CPU単体の価格としては1万5千円以上3万円未満になりそうかなーとも思います。詳しいことは分かりませんが、現実的にはこんなもんかな、と。

 そうなってくるとこのCPUに加えて、GPUまで別に搭載することになったPlayStation3の価格は相当な値段になりそうです。5万円~6万円は覚悟しといた方がいいのだろうか……。そこはSONYが赤字覚悟で普及を図ると思うので、もう少し何とかなりそうな気もするけど(^^;


 個人的に気になるのはこのCellプロセッサはPowerPC 970の命令と互換性があるというところ。これが事実だったら、LinuxベースのOSを搭載するMacは色々変更を加えれば将来Cellを採用できるんじゃないか?と思った点。Wintelの牙城を崩すAppleCellの挑戦、とか面白そうなんだけどw

 以上、Cellプロセッサの簡単な自分用まとめでした。

#どっちにしろ、SONYよくやった。と感じた。日本企業が半導体の一線から退いて随分たつけど、Cellプロセッサは誰が何と言おうとも世界最高のプロセッサだからね。後は、ソフト作りの苦手なSONYが開発ツールや開発者向けの情報を提供できるか、にかかってるか。

<関連記事>
【レポート】ISSCC 2005 - ついに姿を現した「Cell」、9つのコアで256GFlops超の演算性能 (MYCOM PC WEB)
Cellプロセッサの仕様が明らかに--動作速度は4GHz超に - CNET Japan
米IBM,ソニー,東芝が「Cell」の技術情報を発表,動作周波数4GHz超で「スパコン並の演算速度」 : IT Pro US News Flash
【ISSCC 2005 Vol.1】ソニー、IBM、東芝ら、Cellプロセッサーを発表――PowerPC 970+8基の128bit SIMD RISC CPUのマルチコアCPU
後藤弘茂のWeekly海外ニュース
ITmediaニュース:明らかになったCellの詳細

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Comments

>後は、ソフト作りの苦手なSONYが開発ツールや開発者
>向けの情報を提供できるか、にかかってるか。

激しく頷いてしまったっす(笑)

ウチの会社の先輩も目の敵にしてるし(^^;

Posted by: ぐれにー | Feb 09, 2005 at 21:26

こんばんは、コメントありがとうございます。

SONYさんはハード作りは良いんですけどね(^^;

顧客の立場に立った商品作りは、どうも苦手なのかな。
と思います。

でも、友達のSONY信者の言いたい事はご尤もで、
「SONYじゃないと出来ない。」
物があるのがカッコいい所ですよね。

Posted by: エヴラカ丸. | Feb 16, 2005 at 22:36

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Tracked on Feb 09, 2005 at 04:09

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