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Nov 14, 2004

海外馬と情報について(長文)

 近年、日本の競馬界で考えなきゃならない問題のひとつに「競馬の国際化」と言う問題がある。

 日本は、競馬が開催されて100年以上と歴史も有るし、レースも世界で2番目に多く開催されている。

 馬券は世界一売れているというし、実力も海外のG1レースで通用する馬が、北海道は日高を中心に生産されていて、海外の名立たる種牡馬はジャパンマネーが動いて積極的に日本に輸入されている。

 今現在でも、世界有数競馬大国であることは間違いない。


 だがしかし、競馬の世界で日本は「2部」の存在でしかないのだ。(ICSCの国際番付による)


 国際レースが少なく、閉鎖的であることから2部であり、「準競馬主要国」という肩書を得ている(3部は競馬後進国)。競馬が国間のプライドを競う文化であるのなら、これほど屈辱的な事は無い。

 だもんで、JRAは今後「1部」入りを目指し、手始めに天皇賞や有馬記念の国際レース化を始めている。

 今後、この動きに関係して、ローテの組み辛さやリスクから遠慮していた海外の馬主たちが、賞金額の高額な日本において積極的に持ち馬を参戦させて来ることが予想できる。

 特に、欧州では凱旋門賞、アメリカではブリーダーズカップが終わった後の開催が極端に少なく、翌年4月頃までレース自体が少なくなってしまう。国際的にもドバイや香港が例外として大きな国際競走を行っている以外には目立ったレースの無い空白の期間である。

 国際化によって有馬記念が年末に開催されれば、今後、(欧州、米国)→天皇賞秋→JC→有馬と言ういわゆる日本の秋3大レースにあわせてローテを組んで来る海外馬が登場する事が予想できるね。

 結果如何では、例えばこの3つのレースを全て獲得する馬が登場すれば、日本の歴史で初めて、日本の年度代表馬に海外所属馬が選ばれる可能性もある。と言う事だ。


 もちろん、生産界や競馬関係の知識人など、この国際化の流れに反対する声はかなり多い


 内国産馬の血統が国外に流出したり、偏ったり荒らされることも予想できるし、海外の生産者が日本に拠点を作って、場合によっては内国産馬が国内の重賞レースを勝利する事もままならない状況に突入するかもしれない。

 反対の言い分通り、生産者にとっても由々しき問題が多く起こるかも知れないし、競馬ファン的にも面白くないことが起こってしまうかもしれない。色んな可能性が捨てきれぬまま、国際化は着実に進んでいる印象を受ける。


 そんな諸所の国際化の問題の中で、私が特に懸念するのが、情報が円滑に提供されない事で起こってしまう日本の競馬システムそのものの崩壊である。つまりはJRAの崩壊、ね。


 競馬では特に情報が重要視される。どのレースをどんな勝ち方で、とか、この血統だから距離適正は~とか。しかし、現状、日本では外国産の馬の情報を入手するのはかなり困難だ。

 何の情報も下りてこないにしても、全ての馬を前走や当該レースのパドックで見る機会でもあれば毛ヅヤや馬体・馬格、蹄、足運び、表立った気性、装着馬具による性格分析が出来るけど、そんな機会は地方に住む私や多くの競馬ファンには早々無い。

 一例を挙げるなら、本日開催されるエリザベス女王杯出走予定の「ウォートルベリー(仏)」などは、全くといって良いほど国内向けの情報がないと言っても良い馬である。

 かろうじて入ってくる情報もあるが、オペラ賞やヴェルメイユ賞と、欧州の王道牝馬G1路線で着外を繰り返すG2~G3クラスの重馬場巧者。と言うのが僅かに入ってくる全部の情報。ハロンタイムや脚質もJRA発表のプロフィールが全てで、これを見ると脅威には思えないが。

 ではウォートルベリーはG1レベルでは全然ダメで弱いのだろうか……?

 と結論を結ぼうと思ったら、3日後発表されたJRAプレレーティングによると全出走馬中最高の評価を得ているのがウォートルベリーだったりするから悩ましい。国際レーティングとは違うJRAの視点から見た実力点なので、かなり微妙だけど……。

 つまり、今提供されている情報では日本馬と海外の馬との実力差がいまいち分りにくいのが問題だ。

 ならば情報をJRA以外の競馬各誌にまかせよう!と思っても、まともな独自情報が有るのは競馬ブックだけと言うのが一般的に言われている「現状」なのだそうで、他の競馬各誌はその情報とJRAの情報を組み合わせた見解しか発表できないのが実情みたいです。

 更に、その情報を元に作られた「見解」を掲載している、netkeiba.comニッカンスポーツなど影響力の強い競馬系メディアの情報をそのまま引用してくる所が多いので、情報は限られていると言い切れる。

 仕方が無いので皆さんのブログを参考にすることもあるけど、やっぱり良く分らないとする人が多い。半ば自棄になって海外のWebサイトを拙い英語力で眺めたりするんだけど、例えば今年の凱旋門賞を勝った「Bago(バゴ、仏)」を勝つ前に夏調べた時は相当骨が折れました。

 あの時はウィポス6に登場させる新種牡馬リストに追加しておこうと思って馬体を調べたかったんだけど、YahooやGoogleのイメージ検索しても辛うじて使えるのが2,3件(でも解像度低い)だったからね。G1を幾つか勝っている元2歳チャンピオンホースなのに。

 凱旋門勝った後は随分増えたけど、横からの写真は今でも少ない。血統もブラッシンググルーム系は日本ではマイナーなので解説が欲しいんだけど言葉や用語が深く理解できないし、能力の裁定に困ったよ。結局、後に「凱旋門賞を勝つ並」としたけど(笑


 で、笑いはともかくこの今のこの状態で70レース(現行22レース)への国際化はどうだろうか。


 単純に出走頭数が3倍弱になると考えても、その情報が今以上に望めないのならば本当に馬券を買う人にとっては辛く、またフェアリーキングプローンの様に低人気で外国馬がG1勝っちゃう確立が今までの3倍弱増、ひいては勝つ外国馬が続出すればどうだろうか。

 情報不足を皮切りに、日本の競馬ファンの心が更に離れはしないだろうか。

 結果的に馬券の売り上げに響くとして、三連単導入など、肥大化を続けるJRAを今後支えるだけの収入が無くなれば。黒字から一転して、数年で閉鎖に追い込まれようとしている高崎や笠松のような破局的末路を歩む可能性もある。

 何より、国際化に目を向けているのはJRAや意識の高い人が多く、一般的な馬券を購入する競馬ファンの多くが、遠い海の先にある「世界」の情報は未だに「未知」と言うか、未だ予想に関係の無い「遠く」て「興味の無い」話なのである。

 国際化を理由に予想を立てるのが困難になったり、多くの日本の功労馬の血統が1代で潰えたり、競馬の醍醐味が損なわれるような事があったら、ファンとの間の溝が広がり、多様化する娯楽にファンが流れる可能性と言うのは有り得ないとはいえない。

 とにかく、国際化と言う割には未だに日本の競馬は諸外国の情報には疎い面があるので、何れは国際化路線を強めるにしても、時期尚早ではないかと感じることがある。ファンや現在のシステムを置き去りにして改革を進めることは、長期的にマイナスになる恐れがある。

 特に私の場合、血統、馬の過去の実績や参考となるレースでの位置取りや展開などと言う情報を重視しているので、情報が無ければ予想するには辛い。今後、こんな不明瞭な馬が多数出走するようになれば今の精度での予想は出来ないと考える。

 せめて、国際レーティングの様に、「世界で通用する能力の尺度」を持たせるとか、国際間で管理しておく「馬が持つ履歴のフォーマットを策定する」とかして欲しい。競馬場にハロンタイムの概念が無い。とか、そういうのは実に困る。

 欧州、アメリカはもちろんの事、香港、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドなどのアジア、オセアニアの競馬情報くらいはしっかりと把握していなければ、周辺諸国による交流が盛んになった後で、必ずいろんな問題が生まれることになる。

 まだ上記の様な比較的認知されている国ならいいけど、新鋭の韓国や遠方のブラジルなどの情報の乏しいマイナーな国が参戦してきたらどうするのだろう。特にブラジルでは独自の血統があったりして、おまけに基本が芝かダートかすらも私は知りません。

 「まぁ、冗談でもブラジルから有力馬は無いだろう~。」とか思っていたんですが。

 今年、マイナー血統の「Pico Central(ピコセントラル、ブラジル)」(血統:父父父Buckpasserの居るサイアーライン、希少)がアメリカに舞台を移してG1を連戦連勝するなど大旋風を巻き起こしていたりするので、決して無い話ではないのだ。


 では日本競馬の国際化は止めた方がいいのか?と言うとそうでもない。

 競馬と言うスポーツとしての側面を見るならば、歴史的に見ても国際間の競争の一環であった事が分るので、戦って勝つことに意義があるものだからだ。これは人が戦うか人馬が戦うかの違いしかなく、オリンピックに近いとさえ思う。

 最初に書いたとおり、2部に所属することは日本にとっては屈辱であるとは実際思う。これほど世界中の血統を広く集めて居る国は日本が唯一といっても良いと思うし、レベルも高い。

 評価されてしかるべき物が、交流が無いと言うだけで評価されないのは私としては辛い。

 日本が、欧米の真似事として発展させてきた競馬が、生産される馬の平均的な能力を見ても世界的にトップクラスだと誇る為には、もっと多くの国際戦が無ければ……。


 ただし、時期のタイミングは悪いし、制度も曖昧だし、国際化が日本の競馬界に何を引き起こすかの議論をすっ飛ばして、いきなり国際レース3倍弱増と言うのは主催者の勝手な振舞いでしかないと思うし、もう少し話し合うべきだというのは感じる。

 特にこの記事でくどくど書いている「情報不足」と言う認識は多くの関係者に持って頂きたい。

 何にせよ、ついこの間、シーキングザパールやタイキシャトルやエルコンドルパサーが世界に出て行った程度の歴史しか日本と国際競馬の目立った歴史は無いと言うのに、多くの物を置き去りに議論を急ぐべきではないと思っています。

 以上、3時間に渡る長文を、「情報も不足してるし、もっと話し合ったら?何らかのめどを付けるとして、関係者のヒアリングを行うなどしてみるとか。取りあえず、今は時期尚早だよねぇ。」と、口述でまとめてピリオドを打ちます。

 えいっ→ .(ピリオド)

#内容が一部おかしいかもしれませんが、出来る限り思う事を書いてみました。ちなみに、旬の話題でないのは、余りこの議論が過熱してるときに記事を書きたくなかったからだったりする(苦笑
#あぁ、気づけば朝だよ……。昼まで寝るか……。おやすみなさい。

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Comments

ブラジル・サンパウロにも競馬場はありますが、
それが新聞で大きな話題になることもありません。
でも、乗馬は重要。
オリンピックでも金メダルを取りますし、
近郊には乗馬クラブや種畜場が沢山あります。

Posted by: Sao Paulo | Nov 14, 2004 at 06:50

こんばんは、コメントありがとうございます。

おおっ、貴重な現地情報ありがとうございます!

ブラジルの競馬は余り知りませんでしたが、
確かに乗馬は強いんですよね。

競馬の方も、
この記事で紹介したブラジル産馬ピコセントラルなど、
欧州や米国、日本では潰えてしまった血統が、
割と長いブラジル競馬の歴史の中で土着し、
今も受け継がれていているのは非常に興味深いところです。
今後、引く手数多の重要拠点になって行きそうです。

Posted by: エヴラカ丸. | Nov 17, 2004 at 01:58

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