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Jun 09, 2004

6月20日「GIFライセンス失効」に思う

 突然、GIFライセンスの事を思い出した。あれ?6月に日本でも失効する筈だったよな、どれ。と思って調べてみると、20日にその期限が切れるらしい。

 GIFライセンス。皆さんはご存知だろうか。ここ2~3年でネットを始めた人には馴染みの無い言葉かもしれない。99年ごろ、社会を巻き込んで大騒ぎになった曰くのライセンスだ。

 GIFと言うのは良く知られるとおり、画像フォーマットだ。最初に自分で用意する256色しか使えないが、可逆圧縮(劣化しない特性)、透過処理、アニメーション可能。等と言う、かなり汎用的な仕様になっている。

 パソコン通信から広まりインターネットの創成期から利用されてきて、今でも利用の多いフォーマットである。

 ライセンスと言うのは直訳すれば「許可」の事だ。つまり、GIFライセンスとは、「GIFにまつわる使用許可」の事をここでは指す。そのライセンスが、日本では2004年6月20日に消滅する。米国では1年前に消滅済みだ。

 さて、えーっ、GIFに使用許可なんてあんの?って思われるほどに現在でもGIFは普及している。それは、現在90%以上のシェアを誇るInternet Explorerがサポートする数少ない画像形式の中でも、やはりWEBページでの小さな画像の利用に最も適しているから。であるだろう。

 しかし、99年、このGIFライセンスによって、多くの物議が生まれたのだった。何だか凄く懐かしい。

 GIFは、先程も紹介されたとおり、パソコン通信の頃から一般的に利用が始まった画像ファイル。その画像圧縮技術には、LZW法と言う圧縮技術が使用されており、この為、パソ通当時の通信速度(9.6kbps以下とか)で、唯一劣化する事無く、綺麗なままコンパクトに画像を表示させる事が出来る、それがGIFフォーマットだった。

 そのLZW法と言うのは、85年に、ユニシスと言う会社が特許を取得していた。当時は、この技術を使用しても料金は一切かからなかった。が、96年に、ユニシスはLZW法を利用したソフトを開発する場合は使用料と許可を、と発表。11年もほったらかしておいて何を今更と思った人も居ただろう。

 けれど、この後も、インターネットの普及と共にGIF自体はより一般的なフォーマットとしての地位を着々と固めて、フリーのGIF作成やGIF表示するソフトウェアもガンガン公開されていった(事実上ライセンス無視)。

 そして99年。GIFを始め、圧縮、展開にLZW法を利用する、ライセンス見取得のソフトを公開した場合、またはそのソフトで作成したファイルを公開した場合、一律5000ドル徴収、と発表された。日本円にして約60万円。今まで公開されていた多くのフリーソフト作成者に払える金額ではなかった。

 こうして、フリーの作成ソフト、表示ソフトは公開中止、またはGIFを非サポートにするなどして表舞台から姿を消していった。例えば私も利用していたdibasD-Pixedなどは、前者は公開中止、後者は非サポート化(GIF専用ソフトだったのでダメージは甚大)となった。

 有償のソフトウェアにとって規模によって金額は変わるだろうが、負担にならない様で、今でも大抵のソフトはサポートしている。

 さて、こうなって黙っていないのが我々ユーザ。当時、そんなバカな!と立ち上がった人はほんと多数居た。ネットと法律で話題になったという点で共通する、CPマスク裁判(詳細書く気無し)や、ファイル交換ソフト開発者逮捕とかって問題等があるけど。その中でもGIFライセンス問題は面白い。

 何故ならば、GIF画像をプリントした物をユニシス本社前で燃やそうとした!ら、道交法違反なので、とりあえず赤いクレヨンで絵を塗りつぶした活動家も居たりしたからね。非常に印象に残ってる

 いやもう笑った笑った(ぉぃ

 と言うのは冗談だが、十分に広まった後で、利用料の徴収を始めたユニシスのやり方はフェアではない、と上記の活動家の方が指摘された通り、どう見ても一般ユーザにとってはマイナスにしかならないこの徴収を、当時は疑問に思った。

 同様の意見を持つ人は日本にも多くいて、この問題を検証するページは大量に出来た。そして今日の時点でもまだまだ残ってる。また、「当ホームページはGIFを利用していません!」とするWEBページを今でも多く見かけるのもその時の名残による物が多い。

 皆、流石に約60万円と言う金額では敏感にならざるを得なかった。

 しかし私は、ユニシスの徴収は、ある種仕方の無い物であると、今では感じている。

 と言うのも、96年、ライセンスを発表しても、フリーソフトの開発者は、知らずに、または知った上でライセンスを結ばず自由に公開し続けたのだ。これを食い止める為の抑止策として、99年、改めて個人の負担としては重い5000ドルを設定したように思う。

 開発者一人一人をメールで説得していくのは現実的ではないからだ。

 この流れの中で、優れているからこそ、いつかLZW法のアルゴリズムをフリーであるからと改変、焼き増しの上公開される危険性(MS-MPEG4とDivXの様に)があったから、保護する目的で利用料を、口悪く言えば見せしめの為公表したように思う。

 結局、5000ドルと言う具体的な数字を見て、そこから一気にライセンスを取得していなかったソフトの公開は終了して行った。効果はあったと考える。

 現実的に考えても、1度で5000ドル程度の収入はユニシスと言う大企業にとっては、大した収入にならなかったりするので、そういう事情があったように思う。

 LZW法も、85年の段階で、まさかここまでインターネットとGIFが普及する事は想定していなかっただろうから、ネットワークの本格的な普及を前に、ネットワークでのLZWの活用法について検討の結果、96年の段階で方針を転換したのも頷ける。むしろ、このタイミングは悪くないと思う。

 悪かったのは99年、WEB上でのGIF利用に言及した事である。作ったファイルの公開にまで制限をかけるのは、ちょっと欲張りすぎだとは思う。GIFが良いフォーマットだけに、それまでかなりの量が出回ったのだから。

 詐欺と言う言葉が頻繁に飛び交ったのは、この点が誤解されていたからだと思った。まぁユニシスは公には説明しなかったわけだが。実際には、無理やり徴収されたサイトも聞かないし、あくまで金銭回収の為のライセンスではなかったと思う。

 LZWがどう優秀だったのか。は、現在における後発万能フリーフォーマットPNGとGIFの使用量の関係を見ると分りやすい。PNGは優れているが、未だにシェアはGIFが多い。この事からも汎用性という面で、LZW法を利用するGIFがいかに優れているかが分る。

 この技術を転用すればGIF+なんて形式も可能である。そうして、作り手の手を離れてしまうと、ユニシス的には非常に困る事態となるからね。

 結論として私は、今では受け入れる事の出来た問題だと思います。5000ドルは取り過ぎとは思うけど。

 ちなみに、最近同様に突然降って沸いたJPEGライセンスは、策定前のJPEGフォーマットの思想に反するので、こちらは是非とも行使しないで欲しい。今の所、大手の会社から巻き上げてる様子だけど。

 とにかく、様々な思いが交錯した長かった5年間を終えて、遂にGIFのライセンスを作ったLZW法特許はその役割を果たし、終了する事がほぼ確定した。この事でもう一度GIF関連のソフトウェアの公開が始まる事をひそかに望んでいる。

 ユニシスが偉いのは、決して徴収を止めなかった事と、そして、キチンと時限が来たら開放してくれる所である。前者は工業所有権の問題に発展する恐れがあったので、英断である。後者も、キチンとやるべき事が分っている様子で好感が持てる事だろう。

#やはり、こうなる前に筋道は通しましょうね。

<参考>

GIFの特許問題について
GIFフォーマットの詳細

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